「全国中学生合同合宿引率報告」2007.05.20


2007年3月27日、28日にかけて日本空手協会総本部にて全国中学生合同合宿が開催され、私は幸運にも昨年に引き続き府中支部の少年達の引率者としてその稽古を2日間にわたり見学することができました。私も黒帯を取得してから一年半ほど経ちましたが、この頃は『空手』というものを見る目が変わってきつつある中で、一方では、黒帯を取得し、どこか安心し稽古不足が続いております。
 そんな中、このたびの全国中学生合宿引率に引率者として参加する機会を得ることが出来ました。かなり刺激的だった二日間の合宿にて、たくさんの見取り稽古で学んだことをレポートしたいと思います。

<合宿初日>
 杉浦初久ニ首席師範の直々の稽古からスタートしました。『礼』についての稽古です。
稽古を始める前、私達が当たり前に出来なければならない礼。私は並んでいる黒帯の子供達を見ていましたところ、彼等の殆んどが隣の人と足がぜんぜん揃っていません。そして、座るときの動作もバラバラ、正座から立つときもバラバラです。杉浦首席師範はそのことについて、非常に細かく指導されました。座るときは、まず右足を引きます。次に左足を引き、両足をそろえ爪先立ちになります。そして、座るのですがこの時、足の甲と甲は重ねない。親指を重ねて座るのが正しい礼儀作法とのことです。また、正座の際に男性は右膝と左膝の間を拳ひとつ分だけ空け、女性は膝と膝をくっつけるとのことです。これらの事は、もちろん私も知りませんでした。そして、このような短い動作の中にも長い空手の歴史を感じずにはいられません。
 『気をつけ』から『正座』までのわずかな動作。普段、簡単にこなしている動作も実は複雑なのだと実感しました。次に実際の礼について、杉浦初久ニ首席師範は『礼三息』ということを言われました。「礼をするときには、背骨を曲げずにそのまま上体を折り曲げ、頭を上げすぎないように。また、礼には『礼三息(れいさんそく)』という言葉があり、正座の状態から頭を下げて礼をするまでに『息を吸う』、そして頭を下げた状態のままで『息を吐く』、そして頭を上げながら元の正座の姿勢になるまでに『息を吸う』。この動作を『礼三息』と言うそうです。これは杉浦首席師範の言葉そのままです。稽古開始前の礼について、ここまで仔細に語られました。私達も実践していくべきであると思います。
 午後の稽古開始前に全国大会の型競技で優勝した本部指導員の先生の演武がありました。行なった型は『壮鎮』でした。いやはや、ものすごい形でした。私は型で一番重要なものは「スピード」だと思っていました。しかし、その時見た型は違いました。スピードもあるのですが、なんと言っても『力強さ』、拳が空を斬る音、蹴りを放つ際の強さ、型全体が躍動感に満ち溢れていました。実際に戦っているように感じました。それほどの力強さがありました。それにしても、『壮鎮』はとても格好いいです。私も壮鎮を学んでみたいと思いました。その後、空手の基本的な立ち方、前屈立ちや後屈立ち、騎馬立ちなどの指導がありました。午後は基本的な技についての稽古でした。逆突き、追い突き、前蹴り、各種受け技。それらを一つ一つ、本部指導員の先生方が丁寧に指導されていました。指導の中で最も強調されていたのが「最短距離」ということでした。「突きにしろ、蹴りにしろ、最短距離で目標に届かせないといけない。空手初心者は力を入れすぎるため、それが出来ない。空手を長年修行している人も変な癖が出てしまい、それが出来ない。今一度、基本に戻ってそれを再確認して欲しい。」とのことでした。なんだか私に言われているような言葉です。さらに言われたことがあります。「私たち本部の指導員も、空手が伸び悩む時があります。そんな時、私達はもう一度基本に戻り、基本の技を何度も繰り返し稽古をします。基本を繰り返すことが上達の早道です。皆も新しいことについていけずに、伸び悩むように感じたらぜひとも基本を行なってください。」と。その後、基本一本組手の稽古が始まりました。中学生の少年少女たちが互いに向き合って、上段、中段、前蹴りを繰り出していきます。 一通り、稽古を終えて本部の指導員の先生が言われました。「皆は突きや蹴りを相手に本当に当てようとして稽古をしているの? 相手に当てようと思わないと稽古の意味が無いよ。」と。昔、府中支部道場の先生が同じことを言われたのを覚えています。また、稽古中の中学生の気合いが小さいに事について、こうも言われました。「皆は空手を長年やっているの? 昨日まで小学生の合宿があったけれど、その時の小学生の方が大きな気合いを出していたぞ!キャリアが長くなると稽古をやるときに甘えがでて、『このくらいでいいや』と思ってしまうが、それでは空手は上達しないんだよ。」このことも、私に向けられた言葉のように感じました。

<合宿二日目>
 二日目の稽古では型稽古を行いました。指定型四つをグループに分かれて、集中的に行いました。私は抜塞大の指導しているグループにずっとついていったため、他の稽古を見ることは出来ませんでした。抜塞大の稽古では、型の一部分の技を繰り返し行なっていました。第ニ、三挙動の受けては、また受け返す部分。また第四、五挙動の外受け、内受けの部分。第六挙動の蹴りをひっかけて、相手を打ち崩す第七挙動。このあたりは府中支部道場でも同じような稽古があります。そのことからも、部分部分を切り取って反復稽古する重要性がわかりました。また、第九挙動の『突っ立ち』ですが、これはただ突っ立つだけではいけないとのことです。ピンと足を伸ばして立つのではなく、両足で床をギュッと挟まなければいけないとのことです。第十一、十二挙動の『直突き→内受け』については内受けを腰から持って来ないといけないとのことです。スピードを重視して、途中から持ってくるのはいけないとの事です。また、後半の山突き(入り身での上段受け突き、下段突き)の部分ですが、入り身になるときに一回沈み込んでから、前に力を押し出さないと技にならないといわれました。黒帯を取得し、抜塞大を何度も練習してきた私がいまだ知らなかった細かい部分などを学ぶことが出来ました。今回はかなり大きな収穫であります。 
 このたびの府中支部道場の合宿参加者は正田悠人君、斉藤鳳生君の二人でした。二人とも私と同じ黒帯として、空手について深く学ぶことが出来たのではないかと思います。この引率の機会、勉強の機会を与えていただいたことに感謝します。 押忍!
報告者:日本空手協会府中支部清水道場 佐田錦之介
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