「「全国小学生・中学生合同合宿引率報告」2009.3.21


image  2009年3月21日、小中学生の総本部合宿を引率してきましたので稽古内容をレポートします。参加者は府中支部清水道場から10名、関東地区総勢140名ほどでした。前半は小中一緒の稽古で、後半は小学生と中学生を分けて行なわれました。

<前半の稽古>
1.はじめに杉浦先生から礼法について
日頃、道場で教えていただいているとおりで、まず右足を一歩後ろに引き膝を床につき、そこに左足を揃えて爪先を返して座ります。立つときはその逆です。正座の姿勢は、肩はいからせず自然に落とし、あごを引いて視線は正面、手は腿に、膝は開きすぎず拳ひとつくらい、足は重ねすぎず親指が重なるくらいにします。礼をするときは、手は膝前に指を揃えて自然につく、背中を丸めないで上体を折り曲げるように、これを吸う、吐く、吸うの呼吸に合わせてすると軽々しくなりません。丁寧な説明で何度か繰り返し、子供たちの礼も整ってきました。きちんとした礼で気持ちが引き締まります。

2.基本
まずは自然体で直突きと、両手で突いた状態から引いてすぐ突く両手突きです。片手で突いたときに肩が前に流れやすいので、これを直すため解説を加えながら繰り返します。この時の注意点は、引き手は肘を背中に付けるように、拳の返しが早いと極めが弱くなるので脇を擦って最後に返す、肘を早く伸ばす、拳をしっかり握る特に親指を伸ばしたままにしない、そして足の裏を床に押し付け下半身はしっかり立つ、ということです。これを前屈立ちでも繰り返しました。 次は前屈立ちで腰に当てた両手の親指で腰を押すようにして、腰の回転の稽古です。足は床に置いておくだけではフラつきます。「キリで床に穴をあける」イメージで、両膝から下を動かさないようにし、股関節を柔らかくして腿をしっかり捻り、水平に腰を回します。 3人一組で、前屈立ちの前後の膝下を二人が押さえ、正面→半身の回転で帯を水平に揺らすのは、いつもの稽古と同じやり方です。前足の付け根をしっかり折ることも大事です。 これに突きを加えた刻み逆突きでは、更に腰の回転をより早く、引き手は中途半端に引かず真横まで、と注意を受けていました。

3.前蹴り
ポイントは膝の抱え込みとスナップのスピードです。蹴る瞬間に上体がよれないよう正面に向け、膝を高く抱えて、軸足の膝の横から蹴り膝の横に戻すこと。スナップを早くするため、片膝を抱えこんだ状態から、軸足でジャンプして蹴る。抱えていた足が着地する前に蹴り終わらなければなりません。また前屈立ちでの前蹴りでは上体を反らさないようにと注意がありました。 さて再び前蹴りです。前屈立ちから同じ足で2回蹴ります。膝を楽にして、力を入れっぱなしにしないように、スナップは早く大きく、1回蹴ったあと膝が下がりやすいので膝の位置を変えないで2回目を蹴るようにします。

4.後屈立ち
今度は後屈立ちです。平行立ち(足を肩幅くらいに開いて立ち、前屈立ちの高さまで膝を曲げる)から片足を横に出して後屈立ちになり、また平行立ちに戻ります。号令に合わせて左右交互に繰り返しました。足は音をたてないように着きます。音がするのは、軸足の力が早く抜けてしまうからです。これに手を付け手刀受けです。足音はずいぶん小さくなりました。さて、ペアになった相手と足刀どうしをくっつけ、膝を曲げた状態から外側の足を横に出し、後屈立ちになる練習もしました。

5.移動基本
まず追い突きです。前足首を折り込んで膝を前へ出し、床を押しながら内腿を引き寄せ、両腿、両膝をこすり合わせるようにして前へ出ます。また、悪い見本を示しながら、前足の爪先は動き始めに開かないで、「踵を固定してねじれるように開くように」、と解説されました。次に後ろへ下段払いから前へ追い突きし、自然体に戻ります。下段払いで抑えた(貯めた)力を前へ伝える動きです。足首の使い方と重心の移動を学びます。手は使わず前屈立ち(腰正面)から一歩下がって半身になり、そのまま腰を正面にし、一歩前へ出て元に戻る、股関節と膝と足首を柔らかくして軸足を作るのです。重心を意識し、中間姿勢で一旦止まり(軸足を作り)ゆっくりめに動きます。

6.騎馬立ち
最後は騎馬立ちからの移動です。まずは「騎馬立ちのまま」直突き。そして「騎馬立ちのまま」右手で左斜め前に逆突き、左手で右斜め前に逆突きです。肩だけを振り回さず、股関節を柔らかく使って「腰ごと回し」ます。  次に「騎馬立ちから左右斜め前へ前屈立ちになりながら」下段払い逆突きの動きです。更に逆突きの後に前蹴りをし、騎馬立ちに戻りながら中段突きを2本突きます。前蹴りから騎馬立ちになるときに、先に股関節が開いて(騎馬立ちになって)から突くのではなく、戻るときの貯めておいた力を腰の回転に乗せて突きを出すのです。

<後半の稽古>
休憩後は小学生と中学生は分かれて、「基本一本組手とその応用」です。私は中学生の方を見 学しました。 始めに前半の稽古の復習と基本一本の準備として、その場で突きと前蹴りの基本稽古です。突きは肘で伸ばす、閉塞立ちはいつでも動ける準備の状態にし、ふんわり立っていたのでは素早く動けませんとの注意がありました。これらを意識して直突きと前蹴りをしました。

1.基本一本
まずは前後への下段払いです。構えたときに相手との距離(間合い)を正確に保つようにします。ここでの間合いとは必ず届く距離のことです。

@後ろへ下段払い→逆突き
A後ろへ下段払い→後ろ足をグッと引き付けて軸足の横に寄せ→追い突き
B後ろへ下段払い→前へ中段追い突き

ポイント解説:3段階に分けて追い突きを学びました。手を動かす動作ではなく、「身体を締める動作」が大事です。 攻撃側、受け側とも、お互いに突いた状態と受けた状態でぶつかり、力を入れて押し合うのではありません。攻撃側は相手が受けようとする状態のときに突き終わり、突いた手を後から相手が跳ね上げるくらいのスピードで攻めます。受け側は相手の肘が伸びようとする瞬間に、相手の突いた手を弾き出すように受けます。 次に、前2列が向かい合い、相手を作っての稽古です。ひとり2本ずつの攻撃で、双方が終わったら最前列のひとりが最後尾(どの列でもOK)につくやり方です。一本目の失敗を整理して2本目に挑むようにと注意がありました。

@中段突き
 ポイント解説:
 ○向かい合ったら相手から目を離さず礼をし、その場(環境)を自分のものにする。
 ○呼吸も身体も整ったときに攻撃し、勝負を自分のものにする。
 ○攻めるときは、相手の中心に腰をぶつけていく。左右にズレないように。
 ○受けてから返すまでをひと呼吸で。
 ○上段突き、前蹴りの場合も同様に、スピードを殺さないように突く、蹴る。

A受け後の返しを前蹴りにする。
 ポイント解説:
 ○受けたときに近ければかいこみを小さくしたり、蹴るときに軸足を少し下げたりし、下がり過ぎ たときは軸足を大きく前に出ながら蹴る。
 ○軸足で支えられないところから蹴り返しても技にならない。
 ○まずしっかり受けて相手の攻撃を殺してから反撃を。
 ○蹴りが極められる間合いを見つける。

B受けた手で返す。
C受けて足を入替え、追い突き。
DCの返しを前蹴りで。
E受けを逆半身で(右足を下げて右手で受ける)、返しは自由。
 ポイント解説:
 ○動いたことによって力が失われるような反撃にならないように。
 ○向かい合ったときから、いつでも動ける状態にし、気持ちが切れないようにつなげていく。
 ○力を集中させるため、相手の中心線に対して力が逃げないように運んでいけるかがポイント。
 ○形にとらわれて力が集中できないことのないように。

2.最後は基本の動きの復習
追い突きを3段階に分けて
@小さく前蹴り、その場で逆突き。
A小さく前蹴り、素早く追い突き
BAの感覚で追い突き
次は追い突きをしたときの感覚で、
C前蹴り
D一歩下がって前蹴り

はじめのうち元気がないように見えた中学生たちも、稽古が進むにつれ自然に声も大きくなり熱 気のうちにこの日の稽古は終了しました。振り返ってみると、今日最も多く出てきたキーワードは、 前半が「両足で床を押さえる(つかむ)」、後半が「自分の間合い」です。どちらも大事な部分であり ながら、普段の稽古の中でなかなかできていないポイントでしょうか。これらに限らず、キホンとい うのは「基」「本」という字のとおり、形、組手の「もと」となる重要な部分です。
基本が大事ということは何事においても共通する、誰もが承知していることですが、それを身につけ、継続することは簡単ではありません。しかし私達の恵まれた稽古環境を無駄にすることなく、意識を持って稽古に臨むことで、正しい基本を身につけ、形や組手に生きてくるところまで高めていけるのではないでしょうか。 参加した子供たちそれぞれが、普段とは異なる環境、緊張感の中で見聞きし体感したことの少しでも、これからの稽古に表れてくることを期待しています。また私自身改めて基本の難しさ大切さと、それができていないことを実感しました。このレポートに書いたことを実践できるよう、自分の課題を確認し、意識して稽古に臨みたいと思います。
以上


       

 報告者:日本空手協会府中支部清水道場 高野康子
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