・第9回松濤杯争奪世界空手道選手権大会(一般の部) 観戦記
  日程:9月19日(日)  場所:幕張イベントホール(幕張メッセ)


9月23日、第9回松濤杯争奪世界空手道選手権大会が日本武道館で開催されました。
東京三多摩本部からの要請で、同じ府中支部会員の田口さん、若山さんと3人で会場(観客席)の見回り係として立ちました。見回りの仕事をしながら形と組手の試合を見学することができ、自分自身の日々の稽古の改善点など思うことがたくさんありましたので報告します。
日本武道館に入り、観客席の見回りを命じられた私は試合前の選手達を十分観察する機会を得ました。まず驚いたのは、選手達の体格です。普段の稽古に励み、やっとつかんだ出場切符を持って集まった選手達の体格は大きく、強く、その顔は自信に満ち溢れていました。
武道館内の通路では、国内外の選手達が試合前の形の練習をしており、突きをするたびに鋭い音が響きます。まさに目にもとまらぬスピードと、技を繰り出した後の「極め」、そして演武のダイナミックさ。どれを見ても超一流でした。色褪せた黒帯が日々の修行を積み重ねてきた事を物語っています。しかし、技術だけではなく目上の方への礼儀も十分に兼ね備えていました。通路を総本部の師範や大会審判員が通るたびに、選手達は練習をやめて立礼をしていました。
船越義珍先生の空手道二十条に「技術より心術」とありましたが、世界大会の参加選手達はまさにその教えをすでに自分のものにしていました。
会場では最初に形試合が行われました。上級形を次々と繰り出す選手達。ある時は力強く、そしてある時はゆっくりと。力の強弱、技の緩急、体の伸縮の表現など、高いレベルの形試合は大変勉強になりました。選手達に共通していた事は下半身がどっしりとしていて、安定感が伝わってくることです。どんな素早い挙動でさえも、前屈立ち、後屈立ち、騎馬立ち等が、両足で床にしっかりとついているのです。これは普段の基本稽古を手を抜くことなく、幾度となく繰り返した結果だと思います。正直、私は普段の基本稽古で腰を高く構えて楽な姿勢をしていました。しかし、この大会の後からは、より腰を低く、床を両足でしっかりと絞めることを心がけるようになりました。ひとつだけ残念な事がありました。形試合は上級の形ばかりなので、経験1年目の私には初めて見るものばかりなのです。流石に私の知っている抜塞大などを得意形で披露する選手はいませんでした…。残念です。
組手試合は、ワールドカップのように観客がとてもヒートアップしていました。仕事中の私もその一人です。形競技では冷静に観察していたのですが、組手ではやはり日本の勝利を必死に応援している私がいました。その中でとても強く印象に残った試合がありました。それは女子団体の組手決勝戦。相手は南アフリカでした。南アフリカの選手達は組手だけではなく、形競技でもかなりの好成績を残す強いチームです。女子でも身長が180cmを超える選手もいるのです。日本チームの平均身長は160cmも無いはずです。圧倒的な体格差を持つ南アフリカ。私は不安を感じたまま、試合が始まりました。
南アフリカの選手は長いリーチを武器に、前蹴り、廻し蹴りで距離をとり、突きで仕留める作戦でした。それをなんとか受け、反撃の機会を狙う小柄な日本選手。試合は進み、1対1のまま、最後の選手に移りました。最終決戦です。南アフリカの選手は蹴りで距離をとり、隙を突いてワン・ツーの刻み突き逆突き。しかし、技が極まっておらず判定は仕切りなおし。まさに接戦でした。
そして、何度か仕切りなおしたその時、日本の選手が相手の懐に飛び込んだのです。放った技が突きなのか蹴りなのか、技ありなのか一本なのか、残念ながら覚えていないのですが、その瞬間、会場が沸いて勝負は決定しました。日本の勝利でした。小柄な体格で20cm以上の身長差のある選手に勝ったのです。「体」は劣っていても「技」でまさっていれば勝利する事が出来る。それが自分のやっている「空手」なのだと、改めて思いました。
日々、決め事のように声に出して言っている「道場訓」ですが、出場選手達は道場訓を心に刻んで、稽古に励んできたのではないでしょうか。そうでなければ、あのように肉体的、精神的に完成出来るものではないと思います。道場訓は空手だけでなく、日常にもあてはまる素晴らしい教えです。私は空手を始めてまだ1年ですが、修行を積んで肉体、精神共に鍛えたいと思います。この度の大会で空手に関しての考え方、捉え方に大きく影響を受けました。
最後は私の好きな言葉で締めくくります。「空手を日常化せよ!」   
押忍!!

報告者:日本空手協会府中支部清水道場 佐田錦之介
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